りんりんです。今回は私のおすすめ中国ドラマ『福贵』をご紹介します。
前回ご紹介した『我们的四十年』は1978年から2018年の変わりゆく中国、現在の大都会である北京が舞台でした。
今回ご紹介するこのドラマ『福贵』は、その前、1940年代から数十年間の中国南方の農村が舞台です。
そう聞くと面白くなさそうに思われるかもしれませんが…めちゃくちゃ面白いです!
タイトルと YouTube等の動画の表紙(サムネイル)を見て面白くなさそうと思う方が多いと思うので(私もそうでした😅)、「めちゃめちゃ面白いよ~!」ってことをぜひとも伝えたいと思いこのドラマを選びました😊
このドラマはたまたま中国の動画サイトで見つけました。うちのテレビにはAmazon TV stickと小米电视盒子(TVbox)をつけていて、YouTubeをAmazon TV stickにキャストするか、小米电视盒子で直接中国の動画サイトを見るかで中国ドラマを見ています。(どちらも普通に録画したものを見るようにリモコン操作で大画面で見れるのでとても重宝してます✨)
たまたまその時見ていたドラマシリーズを最終回まで見終わったので、次は何見ようかな~と動画サイトで探していたときにこの『福贵』を見つけました。あまり面白くなさそうなのに評価が9.5と高かったので気になってドラマのあらすじを見てみました。
そしたらなんと原作は余华の小説『活着』だったのです。
『活着』は私が二番目に読んだ中国語小説でした。もともとは映画『活着』を見て面白かったので小説も読んでみたのですが、内容はちょっと違っていました。そして映画より小説のほうがより面白かったのです。そしてドラマも見てみたところ筋がまたちょっと違っていました!そして更に面白く感じました。2005年のドラマなので画面サイズは小さく画像もそんなに良くありません。でもそんなこと少しも気にならなくなるほど、このドラマに惹き付けられました。
YouTube動画です😊↓
このドラマのタイトル『福贵』とは主人公の名前です。
フルネームは徐福贵(xú fú guì )
地主の息子に生まれた福贵の半生を描いた物語です。そして運命に翻弄される彼と家族の物語です。
彼らは、これでもかというほどいろいろな不幸に襲われます。
不幸だと思われることが実はラッキーだったり、幸せになりそうだと思ったら不幸のどん底に突き落とされたり…
でもこれが人生なんだなぁってしみじみさせられます。
やはりタイトルは原作の『活着』生きる、生きている、というのがぴったりです。
このドラマを見終わったときには、私もこの動乱の人生を生ききったような気分になりました。
ちょっとだけストーリーをお話ししますね🎵
地主の息子福贵はお金持ちの家に生まれ甘やかされて育ったバカ息子でした。
お父さんに怒られながらも勉強もせず、花鼓灯(村伝統の庶民の踊り)に夢中でした。甘やかされて育ったので、バカなんですがついつい何でも許したくなるような可愛い感じがする男です。ボンボン過ぎて大人なのに街に行くにも自分の足で歩かず使用人におぶってもらうような人でした。しかもおぶってもらって遊郭みたいなところに行って、更に帰りにはお気に入りの太った遊女におぶってもらって帰ったり…
でもなんか嫌なやつに見えないんです。なんか可愛いんです😄
そんな彼がある日素晴らしい女性、家珍(jiā zhēn )に出会います。彼女は裕福な米問屋の娘で、とても美人で聡明な人でした。いろいろあった末に二人はめでたく結婚します。
ここまでが彼の無垢な幸福の時代です。
可愛い娘も産まれ、何不自由なく幸せに過ごしていた彼に魔の手が襲います。
いい人のふりをして近づいて来たよそ者の男、龙二(lóng èr )は言葉巧みに福贵を博打に誘い込みます。しかし実はこの博打はいかさまで、最初は福贵に勝たせていい気にさせ、財産を全て奪ってしまう計画だったのです。
まんまとはめられた福贵は、最後には全財産を賭けてしまい全てを奪われてしまいます。そして大地主から一転、貧しい小作農になってしまうのです。
お父さんはショックのため病気で亡くなります。 そして第二子を身ごもっていた妻家珍は実家に連れ戻されてしまいました。
ぼろぼろの小さな家に、今まで何不自由なく過ごして来た元大地主の奥様だったお母さんと福贵、そして4才の娘、凤霞(fèng xiá)の三人で暮らすことになるのです。福贵とお母さんは、今までしたこともない畑仕事をしてなんとか生活をするようになります。小作農の中でも貧しい貧農として生きていくしかないのです。
家珍は男の子を出産しました。福贵は一目見たいと家珍の実家に行きます。
…そしてなんだかんだで、家珍の強い気持ちについに折れた家珍の父さんは、家珍が福贵の元に帰るのを許すのです。
でも実はこれがラッキーでした。
その後この村は共産党軍に解放されます。(中国ではこういう言い方です)
地主はみんな資産家階級として批判され土地や財産は全て没収、徐家にとって代わった現在の地主龙二は銃殺刑になりました。
家珍のお父さんは富豪商人だったので、後に労働改造所に送られてしまいます。
徐福贵の一家は貧農だったので土地を与えられることになったのです。
ウィキペディア『土地革命』↓
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%9F%E5%9C%B0%E9%9D%A9%E5%91%BD
でももしも彼が博打をせずに地主のままだったら…?
その前に福贵が国民党軍に拉致されて無理やり国民党の兵士にさせられたこともありました。
お母さんが病気になって医者を呼びに行く途中で拉致されて、共産党軍に解放されるまでなんと半年も家に帰れなかったのです。
その間に娘も病気になり、耳が聞こえず口もきけなくなってしまいます。
その他にも数々の更に大きな不幸が彼らを襲います。
…こう書いていると暗いドラマに思えるかもしれないですが、けっしてそうではありません。
ユーモアが多く、登場人物が明るいので見ていて楽しいのです😊
状況は不幸なのですが、登場人物はみんな愛に溢れていてなぜかそれほどの不幸に感じません。
奥さんである家珍は、美人で頭も良く、その上めちゃくちゃ働き者です。物語の後半、筋肉が壊れていく病気になって身体が不自由になっても、縫い物をしたりして常にいつも働いています。彼女にとっては働けなくなることが一番の不幸なのです。恵まれた環境を捨ててダメ男の元に戻り苦労ばかりの人生ですが、可愛い旦那さんと家族のために生きることが彼女の幸せなのでした。
主人公の福贵もとても素直で優しい性格です。でもなぜか息子にはめっちゃ厳しくて体罰(お尻を棒でたたく)を与えています。たぶん自分みたいにならないように厳しくしようとしている愛だと思いますが…
娘も息子もそれぞれ性格は違いますが、とてもとてもいい子です。
なのになぜこんな不幸な目に…
このドラマの魅力は登場人物のキャラクターです。主人公も奥さんも最高です。もうめちゃくちゃ泣きますよ😭ずっと見てたら終わりの頃は号泣してしまいますよ😭
悲しい涙と感動の涙で、心は揺さぶられまくりです😢😂😭
現実の人生もこういうものなんだろうなと思います。世の中には毎日、なぜこの人がこんな目に…というような不幸が溢れています。災害だったり、事故だったり、犯罪被害だったり、何の落ち度もない人が理不尽に命を奪われることもあります。理不尽な不幸に襲われた人やその家族は生きていけないほどつらい思いをしながらも、ほとんどの人はなんとか生きていくのです。生きていくしかないのです。
それが『活着』です。
そしてこのドラマを通して地方の人々、農村の人や町の人目線の激動の中国を見ることができます。
ある日から食料や財産全てが村の共有になり、食事も全て村の食堂で給食で食べることになったり…
鍋や調理器具も全部没収されることになります。主人公はすすんで鍋を村に出そうとするのですが、口のきけない娘が頑固に反対します。そしてその娘の判断は間違っていませんでした。
農作物が不作で村の食料がそこをつきます。みんなが餓えに苦しんでいるとき、奥さんのお父さん(元は自分の経営していた米屋の従業員になっています)が床に落ちた米を日頃から拾って集めていたものをこっそりくれました。
しかし鍋がなければ米を炊くことができません。そんなとき、娘が土に埋めて隠していた鍋を持って来るのです。
文化大革命のとき福贵は元地主ということで批判されます。頭にとんがり帽子を被らされて、胸には地主と書かれた札を提げ人々に糾弾されるのです。
ウィキペディア『文化大革命』↓
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%96%87%E5%8C%96%E5%A4%A7%E9%9D%A9%E5%91%BD
でも批判大会が何回も行われるうちに、本人も周りもまるで芸のひとつのように、ギャグのように帽子を被って札を提げて「すみません、元地主です。意識を変革しま~す!」みたいな感じになって来ていました。「地主」というのもほぼあだ名状態で、言う方も言われる方も笑いあって楽しそうになっています。
これを見て、これが真実だろうなぁって思いました。批判大会をやらないといけないからやるけど、普段は仲のいい村人どうしです。そうそう大昔のことを批判するネタもないでしょうし…
息子がお母さんに「うちは地主なの?」と聞くシーンも出てきます。(地主がギャグになるよりだいぶ以前です。シリアスな時代です)「誰にそんなこと言われたの!」「学校で友達に言われた…」「違うわよ!うちは地主じゃなくて貧農よ!貧農なのよ!」という感じの会話です。
こんな会話、他の国ではなかなか聞けませんよね。
またこのドラマ、俳優さんたちの演技が最高に素晴らしいです。
登場人物たちの10代から60代ぐらいまでを同じ俳優さんが演じているのですが、みんなその時々でその歳に見えてしまうのです!
このドラマはバカだけど可愛い「褔贵」のキャラクターを魅力的に演じることができなければ物語が成り立ちません。何でこんな男を見捨てないの?って思ったらおしまいです。その愛すべきキャラクターを 陈创という俳優さんがとても上手に演じています。
不幸なことにも耐え、彼を愛し続ける奥さんの家珍役の女優さん刘敏涛の演技も素晴らしいです!お嬢様だった時代から、苦労を重ねて強い母になる過程をすごく上手に演じています。後半の彼女は人生経験を積んで貫禄がついてくるのですが、本当にそう見えます。一人の美しい女性が人生の荒波に耐え、老いていく様子を本当に上手く演じているのです。
このドラマはユーモアにも富んでいるのですが、面白い部分の演技、コミカルな会話のシーンもとっても上手い!
本当にこのドラマ、笑って泣けて感動できる最高のドラマです✨
事件もまだまだたくさん起こります。本当に見どころ満載のドラマです!
ぜひぜひ皆さん見てみてください😊
中国に対する理解も深まりますよ🎵
中国語の勉強に中国ドラマは最適です!
何度も言いますが、よくわからなくても、音を聞き字幕を見ながら流して見てください。中国の農村に生まれた子供になった気分で…子供は親の会話を聞いて言葉を覚えます。そして私達は漢字という知識を持っているのです。中国語を勉強している人なら、最初は字幕を読むのについていけなくてもそのうち馴れてきます。よほど気になるところだけ、一時停止して辞書を引きましょう。
中国ドラマを何本も見るうちに必ず中国語の力はついてきます。リスニング、リーディングどちらもです。
私は中国ドラマのおかげで速読に馴れHSK5級の阅读で99点が取れたと思っています。听力も99点でした。(あと1点がなんなのかは謎です。4級の听力も99点でした😅)
それにしても、こんな素晴らしいドラマが無料で見られるなんて本当にありがたいです✨
ドラマで楽しく中国語学習✨最高です✨
皆さん、楽しみながら中国語の力をアップさせましょう🎵
zhǐ yào jiān chí , jiù yī dìng huì jìn bù !
只要坚持,就一定会进步!
✨✨✨加油~✨✨✨
では今回はこのへんで…
谢谢大家💓
下次见!
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次の投稿はこちら😊↓
今回ご紹介した中国語学習ツール✨
✨✨✨加油~✨✨✨
2015年8月に中国語独学を始めました。2017年6月中国語検定2級取得。2020年12月HSK6級240点取得。猫が大好き。趣味は吸猫(猫とじゃれあったり遊んだりすること*中国語新語)です。